ソニーリーダー発表について
先週25日、ソニーが電子端末「リーダー」を発表しました。
26日付朝日新聞朝刊でも経済面に大きく取り上げられていました。「読書専用、多機能に対抗」参入が相次ぐコンテンツ配信ビジネスと連動して、激しい競争がはじまる、、、という件ではじまる記事です。
記事は特にiPadやギャラクシー、ガラパゴスといった多機能型とキンドル、リーダーの読書専用型の違いについてあげ、ソニーは「読書好きには専用機が受け入れられやすい」とみている、とありました。

また、電子書店も乱立という見出しで、リーダーの「リーダーストア」、NTTドコモと大日本印刷が提携、ソフトバンクもグーグルアンドロイドマーケット向け配信予定、シャープ、紀伊国屋、角川と次々と参入が続くと報じています。そのうえで米ソニーエレクトロニクス副社長が「日本の市場は高い可能性があるがこれほど複雑でわかりにくいのは日本だけ」電子データの規格統一や出版業界の根強い警戒感の解消が課題とまとめています。

電子書籍元年となにかと騒がれている昨今、こういった話題が紙面を賑わせていますが、個人的には違和感がつきまといます。本当に激しい競争がはじまるのか、この表現には希望的観測が含まれている感じがするのです。

もっとも重要な点、どう書籍を購入させるか、というところにおいて多機能型にせよ専用機にせよ違いが大きくみられます。iPadにはiBooks、またはiTunesのAppStoreが購入のゲートです。アンドロイド搭載機はアンドロイドマーケット、読書専用機のキンドルもまたアマゾンキンドルがあります。
もちろんリーダーストアもこれらに代わるものでありますし、シャープのガラパゴスも当然用意してくることでしょう。

しかしながらここで注意しておかなければならないのはiTunesもアマゾンも実はずっとずっと前からあったもので、しかもどちらも読書以外での利用率の高いものである点です。それについ先日アマゾンも音楽配信サービスを開始したのも興味深いものがあります。どんどん両者は近付いているのです。

それこそアマゾンは書籍ネット通販サイトが始まりでしたが今では様々なものが買える巨大なマーケットになっています。玩具を扱い始めた時には黒船が来たと玩具業界で騒いでいたのを思い返します。そうやって広がったアマゾンが本業の書籍分野で満を持して投入したのがキンドルでした。

iTunesはもともとは無料のiPodの音楽管理ソフトでした。それが音楽配信サービスを始めて、さらにiPhone 3Gの登場とともにApp Store を展開、アプリケーションの購入も出来るようになりました。そしてiPadの登場とともにiBooksという電子書店を立ち上げたのです。

iTunesを航空母艦ととらえると、iPhone、iPod touch、iPadはそれぞれ性能の種が違う戦闘機に例えられると思います。戦闘機の性能、機能をアップデートし続けたうえで無料で提供されるしっかりとした空母はやれ音楽、アプリケーション、書籍といったあらたなマーケットに戦闘機を連れて行ってくれる、そこにiPadの強みがあるのではないでしょうか。

この論点から考えるとどうしても「リーダーストア」単体で挑むソニーやシャープガラパゴスが力不足なのは否めません。ましてや出版社が立ち上げている電子書店はインターネットサイトをパソコンを介して提供するサービスであり、購入までのプロセスが多く普及へは遠いものとなるでしょう。

さらに当の「リーダー」は通信機能を持たないので、キンドルのようにキンドル単体で3G通信で書籍が購入できないという記事が翌日にまた新聞に掲載されていました。リーダーストアは2万点以上の書籍をそろえても立場は他の電子書店と同じパソコンを介しなければならない同じ立場にあります。

そういった電子書店が乱立する中では確かに電子データの規格統一などの業界の足並みをそろえる必要がありそうです。iモードで読む書籍かったんだけど他で読めないとかパソコンでどこどこから買ったんだけど持ち出せないとか。ほんとうに複雑でわかりにくいのは日本だけなのかもしれませんね。

こうなってくると戦略が恐ろしいのはやはりアマゾン・キンドル。
自社で専用端末を出しながらも実はiPhone,iPod touch,iPad向けにキンドルのアプリケーションが提供されています。そのアプリケーションからアマゾンの電子書籍が購入・読書ができるのです。アマゾンにとってはキンドルは書籍販売チャンネルの一つでしか無く、それはiPhoneでもiPadでも構わないという考え方なのです。やっぱり端末を売って利益を作るための会社ではなく、書籍を売って利益を作る会社は強いです。ソニー大変そうだな。

ですから先週のソニーの発表でもiPadアプリとしてもリーダーが出るという噂すらでるほど市場はすでに前に進んでいるのにまだ端末で稼ぐビジネスモデルの発表が行われた事に残念な気持ちでいっぱいです。iPadアプリも出すくらいのソニーの気概がほしかった。

しかしながら出版各社の思惑をまとめて日本語版電子書店を用意したという点においては評価に値するでしょう。通信機能付きリーダーが出せなかったのもなかなか出版業界のそれこそ警戒感が壁になったのかもしれません。ただ、キンドルもiBooksもまだ日本語に対応できていないのも事実です。これには同じ理由があるのでしょう。日本だけが取り残される不安がこのところ気がかりです。この点についてはまたそのうちじっくりと考察していきたいと思います。それでは。
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by mentoscoke | 2010-11-30 22:25 | 思うところ
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作品の紹介や日々の業務、プライベート等をレポート。定期更新にくじけています。 福島県出身。 ご依頼ご連絡は下記アドレスへ。   mentoscokeアットマークgmail.com   
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